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小山田悦さん(フォトグラファー)

  • 2013.09.11

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●フィルムカメラに魅せられて●

 

苦楽園駅前の小さなアパート。扉を開けると、そこにはは別世界が広がるアトリエがある。まるでパリのアパルトマン、その空気感でパリジェンヌな気分にさせてくれるアトリエをオープンさせたのは、ウェディングを中心に活躍する女性フォトグラファーの小山田悦さん。
写真は全てフィルムカメラでの撮影。デジタルカメラでの撮影が主流になった時代に、フィルムを通して独特の空気感を写真で表現するフォトグラファーだ。フィルムの世界と、女性ならではのやわらかい目線で、花嫁の大切な一日を撮影してくれる小山田悦さんにお話を伺いました。

ドレスに身を包んだ花嫁を目の前にすれば、必ず思うに違いない。”彼女ってこんなにも綺麗だったのだ”、との事実を。最高の美しさを発揮できるのが花嫁の特権。それは、美しいドレスのおかげ?それとも、プロのメイキャップのおかげ?いや一番は、その花嫁の内面から溢れんばかりに醸し出るオーラ。ドレスもメイクもそれを引き立てる付属品にしかすぎないはず。それほど、メンタリティは人を美しくさせる大切なモノ。そして、それをさらに魅力的に引き出し、瞬間を留めてくれるのが写真という魔法の絵本。小山田さんの写しだす花嫁達は半端なしで美しすぎる。

 

 

●フィルムのもつ独特な世界観を求めて

 

-- フィルムカメラが生み出す発色は独特の存在感がありますが、小山田さんの作品は、特に光や影が印象的。その瞬間という空気感も伝わってくるのが作品から感じとれますね。

 

どうしてもフィルムこだわるというわけではないのです。デジタルが嫌いというわけではないんです。ただ、フィルムに近づいてきたというデジタルカメラですが、近づけたいなら近づかなくてもフィルムでいいんじゃないの!?という感じです。ただ好きだからという理由なんですよ。ウェディングでは、モノクロとカラーのどちらでも撮影を行ないます。この場所だからと決まった位置や構図にはめ込むのではなく、状況にあわせて、その瞬間にその人だからこそ撮れる写真を撮りたいと思っています。彼女にはここがいいとその瞬間に思える時がシャッターチャンス!!それは、晴れていたり、雨が降っていたり、同じ場所でも光が違う、影も違う、その一瞬を写真にとどめる事ができたらと思っています。
どちらかというと、すべてが感覚。あまり事前に考えたりせずにその瞬間、その状況で判断している事が多いです。人間が感覚人間なので(笑)

 

--なるほど、私も感覚の人間なのでわかる気がします!!(笑)光の取入れからなども綺麗なのですが、拝見させていただいた花嫁たちが本当にどれもが美しいです。本当に素敵な写真ばかり…私もそんな機会があるなら、お願いしたいと思いました。拝見させていただいた花嫁さんたちは、モデルさんではないですよね?

 

ありがとうございます。そういっていただけると本当にうれしいです。みなさま、本当の花嫁さんたちなんです。ねえ、みなさん本当に綺麗ですよね♪でも、いかに綺麗に撮るという事は、常に意識しています。と言っても、実は殆どが感覚で動いています。考えてしまうと余計に狭くなっていってしまいそうなんです。言ってしまうといい加減な感じがするかもしれませんが、”アバウトさ”って、大切だと思っています。その加減具合で振り幅が大きくなると思うのです。考えてしまったり、構図にはめてみようとか思うと、とても狭い幅に押し入れてしまいそうになるので、そればかりに気が取られてしまいそうになるのです。私の場合は、酔ってしまいそうになるほど、振り幅は大きくです!

 

--たしかに仰る通りです。その瞬間をとらえるためには感覚や直感が大切かもしれませんね。そのためにも振り幅は大きい方がチャンスも広がりますね。でも振り幅は、経験も大切ですよね。普段から、その感覚はどのように磨かれているのですか?

 

どうなんでしょうか(笑)洋書や写真集は見るのが好きです。普段はあまり時間がとれないので、思うように頻繁には見られないのですが、たまらなくなったら、たまにおひとり様になって、お気に入りのホテルに数冊の写真集と一緒にこもったりします!ただ一人、ぼんやりと写真集を眺めたりしています。

 

特にお気に入りなのが、「DOGS」という写真集です。犬とその飼い主との、古い昔の写真を集めて写真集にしたものなのですが、その写真力に参ってしまったのです!犬と人との信頼感が写真から滲み出ているのです。幸せに満ちているのが溢れ出ているのです!!
なかには、古い物なら100年前の写真とかもあり、全く違う国、全く違う時代のこの私が、きっと今は存在していない人の写真を見ることが出来るのです!!凄い事だと思いませんか!?購入した時はそんな事までは考えていなかったのですが、家に帰ってゆっくりと読み返してみると、勝手に涙が溢れてきました。写真力て凄いな…って。 私も、そんな影響ある写真を撮っていければと思っています。私が生きた証、それを残していけたらと思っています。

 

写真の話をする時の小山田さんは、目をキラキラさせて本当に魅力的。自分が生きた証を残せるって本当に素敵なこと。心から天職を見つけたと仰る表情は、羨ましいほどに輝いています。この人に撮ってもらえたらと、自然に思わせてくれる人。でも、その思いもやはり、はじめからとはいかなかったようです。

 

--カメラのお仕事に携わるきっかけは?

 

実は、はじめはTVの製作会社に就職したんです。想像する通り、いや、かなり過酷で厳しい世界だったのですが、クリエイティブな仕事は好きでした。ある時、会社の先輩が結婚する事になり、私に写真を撮ってくれないか?との頼みをいただきました。それまでも、物心がついたときにはカメラがあるのが当たり前。父親がカメラ好きで私も自然と持つようになっていました。そして学生の頃には写真が担当みたいになって、催し物や修学旅行等…それが当たり前になっていました。
親しんできたカメラでしたが、ずっと”好き”という感覚だけで、撮っていたので、先輩からのお願いも、私なんかが!?との驚きのほうが大きかったのですが、撮ってみたいという気持ちも大きく、快く受けさせていただきました。その時は、全てをモノクロ写真にして一冊のアルバムにしてお渡ししたのですが、涙を流して喜んでくれたのです。本当に、大泣きしてくれたので、まさか泣いて喜んでもらえるとは思ってもいなかったので、私まで感激してしまいました。私自身も、結婚式というものに初めて参加させていただき、なんて素晴らしいセレブレーションなんだろう!と、想像を越える感動を味わう事が出来ました。
そこからウェディングにも興味を持ち始め、 同時に私の求めているのは、こちらの道なのかもしれないと思うようになりました。

 

--そこから転職という道を選ばれたのですか?

 

決断はなかなか出来ませんでしたが、その頃働いていた制作会社での仕事も、自分の位置も、本来いるべき場所なのかな?という悩みも抱えていた頃なので、益々、中途半端な気持ちではなく、写真に専念しようと思うようになりました。 ですが、学校に入るとか、カメラのスタジオに勤めるではなく、独学でのいきなりフリーに。もちろん、急に仕事が来るわけもなく、しかもカメラにはお金がかかる。なので、ケーキ屋さんなどでバイトをしながら資金集めをしたりもしました。 しかもサラリーマンの家庭で育ったので、商売のノウハウも全くわからない。なにから手をつけていいのかわからない。そんな状況で、未知の世界にドブンと飛び込んでしまった感じです。訳もわからないけど、自分がわかることからやってみようと思ったのが、電話帳や、インターネットを見ての営業活動でした。しかも、営業さえもどうしていいのかわからないという、本当に何もわからずにいきなり行ったはじめての営業が京都。縁も所縁もないのにです。でも、何軒も断られ、やっとアポイントメントが取ることが出来たのです。こちらは意気揚揚と出向いて行ったわけなのですが…写真を見せての一言が、「素敵なご趣味をお持ちですね」の一言。きましたね…グサリと胸に突き刺さりました…遠まわしな断りの言葉に言い返すすべもなく、結局そのまま写真も持って出た帰り道、店を出て駅に着くまでの間に、もう我慢も出来ず…次から次へと溢れくる涙は止めることが出来ませんでした。ほんとうに、アップアップの状態でした。

 

●自分の写真というものを評価してもらう事本当に、悔しかったです。またね、そんな時にかかってくるんですよ、電話が。相手は母親から。なんてタイミングなんでしょうね…もう、声を聞いただけでも、益々溢れ来る涙が…本当に泣きじゃくりました。それからも、何軒もの営業に周りましたが、どこも写真は見てくれないんです。結局、写真は流し見るだけ。話の行き所は、「で幾らでやるの?」なんです。とどのつまり、写真の質よりも、値段が重要なんだと痛感しました。 思いっきり値段はたたかれるし、マージンの高さに断念したり、本当に、あの頃は辛かったです、悔しい思いをたくさんしました。
それでも、私は写真を見て欲しかったんです。私の写真を認めて欲しかったんです。こうなったら意地の張り合いではないですが、尚更に写真ありきの仕事をするぞ!!と思うになりました。今では、自分らしさを保ちながらも10年経ち、数百組という数え切れないほどの方々の写真を撮らせてもらえるようになりました。今となっては、あの時、妥協しなくてよかったと思っています。

 

●アトリエを立ち上げてこれからの進展は?

 

いままでは殆どがウェディングでしたが、ベイビーやファミリーの写真へと紡いでいって欲しいというのがこのアトリエを立ち上げるきっかけなんです。ウェディングを専門にしていると、どうしても結婚の予定がある人のみの空間になってします。ではなくて、誰にでも来て欲しい、写真を見るだけでも楽しんでいって欲しいと思っているのです。この場所に決めた大きな要因も、ギャラリーの近くだったから。(同じ階には、「galerie 6c」がある)その帰りにでもこのアトリエに足を運んでもらえたたらとの思惑もあるんです(笑)ベイビーやファミリーだけの写真でももちろん構わないですし、結婚するとか、しないとか…ではなく、ひとつの作品としてウェディングの写真も見ていただけたらと思っています。

 

--今回、「galerie 6c」では、小山田さんの5回目の個展が開催されます。テーマはパリ。大好きな街であるパリに二週間滞在され、パリの街並みや小山田さんが感じたパリをテーマにしています。好きに理由は要らないという小山田さん、パリは気付けば好きだったそう。パリやヨーロッパ好きの人って悪い人っていないと思いませんか?と問い掛けられたmakiもヨーロッパが好き♪イタリアが好き♪それに理由はいらない!!ですよね!その感性が痛いほど伝わってきました!個展を見られた帰りにはアトリエにも寄ってもられるように、撮影などが入っていなければ、オープンの状態にしています!!是非、お帰りの歳にお立ち寄りください♪
個展期間中は、今回のパリの写真の販売もあり、パリの雑貨も集めて販売も予定しています。たくさんの人に私の写真を知ってもらいたい、飾ってもらいたいと思っています!!
みなさん、お待ちしています!!※小山田悦個展「galerie 6c」 にて
2009年9月29日(火)~10月11日(日) 「白と黒のやさしい世界Ⅴ」

 

--笑顔がとってもキュートで全身から優しさ溢れるオーラが漂っている小山田さん。でも、話を聞くほどに頑張り屋さんなのだと思うばかり。”顔では笑って、実は水鳥のようにバタバタしているんですよ~”と、仰る顔はやはり笑い顔(笑)しかし、それほどに真の強さを感じ取り、ブレのないまっすぐな写真が出来上がってくるのだと感じられました。何年経っても、毎日送る生活に押し流されていたとしても、開いたときにあの日のふたりの想いがよみがえってくる…その瞬間にしか感じとれなかった空気感、質感等、きっとその感覚がよみがえってくるに違いない。 そんな、世界にたったひとつだけの最高の瞬間をよみがえらせてくれるに違いない。この人なら、そんな作品を作ってくれると確信しました。おふたりの笑顔を、光のベールにくるまれた最高に輝く瞬間を感じてみてください。 きっと、そんな素敵な瞬間がぎしっりと詰まったアルバムが彼女から、ふたりの元に届くことでしょう。

 

 


 

 le bonheur

西宮市南越木岩町9-5 パルレ苦楽園3F
0798-61-2554
阪急苦楽園口駅 徒歩1

 

 

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