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安尾秀明さん(フレンチ料理 restaurantThais )

  • 2013.09.08

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●フランスでの衝撃●

 

--どんな風に衝撃があったのですか?

なぜって…まず空港に着いた時点でフランスの匂いを感じました。とにかく日本とは全然違う。

 

ああっ、これがフランスなんだ!

 

そして、食べるものも味が違う。にんじんひとつにしても本当のにんじんの味がしたんです。土からあがってきたにんじん本来の味がね。牛乳は濃い。これもまた牛乳の味なんですよ。そして、肉は硬い。けれど、やっぱり肉も肉本来の“そのもの”の味がするんです。

 

今の日本は、きれいなモノばかりだけど、味がなくなっているんですよ。

 

やっぱりフランスは違っていた。実際に現地に立ってみて初めて肌で感じることが出来ました。
本当に、衝撃的でした。そして、一人で行くのではなく、分林先生と一緒だったということも大きかったです。先生が日本にいる時の先生とは違っていた。とにかく輝いていた!別人でしたよ!やっぱり、先生もフランスがすきなんだな…って。 そんな人の隣でフランスにいる事が出来て、“よかったなぁ…”と実感しましたよ。そして現地で食べ歩いてみて、フランスにも色々なお店があるとわかりました。先生の言う事は正しかったんだという事も実感しました。

 

 

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●学校を離れ、レストランで●

 

 

--そんな安尾氏が学校という場所を外れ、レストランで働くようになったのは30歳になろうという時。先生として指導する立場だった人間が人の下で働くというのはやはり戸惑いも大きかったよう。しかし現在、安尾シェフは料理は簡単だという。誰にでも出来ると。確かにそうだ、と思う。なぜならそれは、それだけの数をこなし、経験を積んだものから発せられる言葉なのだろう。それだけフレンチに対する誇りを感じる。

 

もし、寿司屋に入って青い目のフランス人が厨房に立ってたらどう思います?やっぱり違和感ありますよね。入る店間違ってしまったかも?って思いますよね。僕だったら、開けた扉をそのまま閉めてしまいたくなりますね。
でもね…そのフランス人が、「らっしゃい!大将!!今日のネタ、良いのはいってまっせ!!」って言ってきたらどうですか?ちょっと、「おおっ、なんだ!?もしかしてこいつ、やるんちゃうの?」って、ちょっとどんなモノを握ってくれるのか興味持ってきませんか?こいつの握る寿司って、どんな味なのかって食べてみたくなりますよね?

 

その感覚と同じだと思うんです。 フランス人が、おいしいものを食べようと期待して入ったフレンチのお店にボクみたいな日本人が立ってたら、きっと同じ思いをすると思うんです。「こんな日本人にフレンチなんて作れるのか?」ってね。でも絶対においしいものを食べさせたい!美味しいといってもらいたい!フランス感覚の「らっしゃい!」的なものを身につけたい。

 

それは、理解しようとする姿勢。料理はもちろん、文化や歴史。例えば言葉が話せなくても気持ちをどこに持っていくのかとか。技術だけではない、“人としての心”を思う気持ちが大切だと思うんです。

 

だから、僕はフランス人以上にフランス料理を勉強しなくちゃいけないんです。だからまだまだ勉強しなといけないことはたくさんある。いつもいつも、料理のことばかり考えています。“なんちゃってフレンチ”は、僕は作りたくないんです。フランス人が美味しいと思うフレンチを作りたいんです。だから僕はフランス人になるんです!フランス人以上にね。と言っても今はまだ目指しているところです、だからまだハーフなんですけどね(笑)

 

 

 

●人と人とのつながりを●

 

 

--安尾シェフと話をしていると、「思いやり」「感謝」という言葉が浮かんでくる。言葉の端々に、今まで巡り合ってきた出会いを大切にし、相手も思いやる。感謝する気持ちを常に持っているのを感じるからだ。それだからか、相手から受ける思いやりを敏感に感じ取り逃がさない。
それが、いい出会い、人との信頼関係を生んでいるように感じられる。

 

恩師分林先生との出会いにしても、もちろん分林先生との出会いも多大な影響を与えているが、その先には、分林先生の恩師やもちろん前校長辻静雄氏の影響も忘れられない。辻静雄氏は数々の著作本を出版している。ほとんどが絶版になっているが、その古い本を安尾氏は今でも大切にしている。そして、今でもよく本を開くそうだ。

 

絶版になっているし、本も作り方も古い。けれど時々、辻静雄氏の本を改めて見て30年前のフランス料理をあえてやってみるんです。そして、元となる味を再確認してみるんです。古いものを古いもののままでね。そしたらね、やっぱり“おいしい!”、“うまい!”なんです。やはりおいしいものは変わらないんですよ。そしてその古いものの中から、新たな展開や発展を見つけ出していく事もあると思うんです。

 

自分がやってきている事、そしてやっていきたい事。それは前に進んでいかないといけないことだけれども、ずっと前だけを見て進むと、少しずつのぶれだと気が付かない。そして、いつか振り返って見たときに後ろには何もなかったではどうしようもない。
だから、自分がやっている事をその都度ごとに再確認します。
そして、少しのぶれを正すんです。そして、ストライクゾーンの中に常にいるように意識しています。それは自分自身で確認することもあり、他の人達によって気付かされることもあります。

 

そんな人たちもまた、かけがえのない大切な人たちなんです。

 

フランスにいた頃の恩師も日本に来たら、食べにきてくれます。そして美味しいと言ってもらえることがありがたい。普段は頻繁に来るプチ先生もいるんですよ!いや、先生と言うよりもお兄ちゃんだな。それは、「I VENTICELLI」の浅井シェフ。ジャンルは違えど学ぶ事は多いです。卓ちゃん(浅井シェフ)は、絶対に「美味しい。」としか言わないんです。でも顔見たらわかる!あ、今日は気に入らなかったんだな、とか、ああっ、今日は成功した!ってね。言葉に出さなくてもわかります(笑)もちろん付き合いも長いですが、付き合いは長さじゃない、深さです!常にそばで見てくれるのもありがたいと思っています。浅井シェフとはそんな付き合いなんです。

 

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●究極の料理を求めて●

 

そんな色々な人たちに支えられ、そのストライクゾーンを守っていきたい!でもそれだけではなく、そのストライクゾーンを少しずつ狭めていきたんです。少しずつ、少しずつ…徐々に狭くしていき理想は、究極です。それは「一本の線」。綱渡りの様に芯のぶれない「一本の線」の味。その上を渡っていけるようになりたい。

 

そう、なりたいです…

 

--ストイックなとも思える安尾シェフのそばで、その言葉を聞きながら大きくうなずくスタッフたちの姿が印象的でした。スタッフ達も同様にその人とのつながりを大切にするという事を引き継いでいるのが感じられ、その料理に賛同しているのだと。そうして意味のある一皿がまた引き継がれていくのだと感じられました。

「I VENTICELLI」→をチェック

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長年の愛用の包丁は修理しつづけていたが、とうとう使えなくなったしまった。けれど捨てられない。新しい包丁は、最近やっと手に馴染んできたそう。

 

なにも思わずに食べるなら腹を満たすだけの料理。しかし、一皿一皿、ストーリーのある皿ならば…多くは語らなくても、料理を見れば、食せれば…彼の気質は伝わってくるに違いない。
そんな安尾シェフの発展しつづける料理のこれからを楽しみにしたい。

 

 


 

 

 

restaurant Thais

芦屋市東芦屋町6-22 パセオ芦屋1F
0797-32-1110
阪急芦屋川駅 徒歩1分

 

※2006年6月8日、安尾シェフは独立されて、オーナーシェフとなりました。料理に対する思いは益々高まり発展しつづけています。palashio エリアではなくなってしまいましたが、是非、大阪まで足をお運びください♪

 

 

Convivialite (コンヴィヴィアリテ)

大阪市西区新町1-17-17
06-6532-4880
定休日 木曜日
11:30~14:00(L.O)
18:00~21:00(L.O)

 

※2010年度 Michelin kyoto osaka版にて、「Convivialite」はひとつ星を獲得。ひとつ星とは、
”そのカテゴリーで特に美味しい料理”を示す。

 

 

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