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大西泰宏さん(紅茶・中国茶専門店 Uf-fu オーナー)

  • 2013.09.03

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●お茶のある空間--毎日がちょっと楽しくなるお茶生活のために●

 

このところ、お茶や中国茶はちょっとしたブーム。みんななんだか忙しいいま、お茶で“ほっこり”するひとときを求めるヒトが多いのかもしれませんね。

今年4月、芦屋にオープンしたカフェ『Uf-fu(ウーフ)』は、お茶の専門店。でも、よく目にする中国茶のお店とはちょっと違う。NYの街角にでもありそうな、シンプル&モダンなインテリア、見るからに座りごこちのよさそうなソファ、そして、イタリアやフランスの食器…。いわゆる“中国茶”ショップとは一線を画す感のあるこのお店をオープンしたのは、ひとりの男性。お茶好きが高じて、中国に留学までしてしまった大西さんに、お話を伺いました。

その前にまず『Uf-fu』をチェック→

 

 

●お茶に魅せられる


--お茶が好きになったのはいつ頃からなんですか?

 

高校生の頃から紅茶が好きで、よく飲んでいました。子供のころには喫茶店のマスターになりたいと思っていました(笑)。それで、将来はお茶に関係する職につきたいと思い、まず、とある紅茶専門店に勤めました。そこは、400種以上の紅茶を扱う専門店。それだけの紅茶の銘柄と品番、特徴を覚えるために勉強をしました。そこで、お茶をお求めに来られたお客さんに「このお菓子にあう紅茶はどれ?」といった質問を受けることが多かったんです。それにお答えするために、お茶うけのお菓子と相性のいい紅茶を研究する毎日でした。

そんな時、東京のあるお店で、とてもおいしいお茶に出会ったんです。それが“武夷岩茶”という、とても貴重な中国のお茶でした。とても味わい深くて香りも高い、本当においしいお茶でした。

いずれは独立してお茶の専門店を作りたい、と考えていた私は、こういうお茶を作る人、そして産地を見たい!!、と思い、中国に渡ることにしました。

 

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●単身、中国へ

 

 

--え?! 「中国へ行くことにしました」って、さらっとおっしゃいますが、結構、無謀なのでは…?

 

 

北京と上海に合計1年間滞在しました。お茶を買うにも言葉ができなくてはどうにもならないので、大学の語学センターへ留学したんです。そして、平日は語学の勉強をして、週末や連休になると、お茶の市場や産地に出向く、という生活でした。

 

北京や上海には、大きなお茶市場があるんです。その中のお店は、いろいろな産地から、お茶を売りにやってきた人たちのお店なんです。ですから、その市場のお店をとにかくひとつひとつ回って、少しずつ買っては試飲しました。そして、「これはうまい!」と思ったお店の人に話しかけ、「産地を訪ねたいんですが」と交渉したんです。

 

無謀ですか(笑)? でも、そういうことを言い出す日本人は珍しいらしく、みんな「いいよ、見においで」と快く受け入れてくれました。しかも、中国では、一度“お客”と見なした人に対しては、とても親切にしてくれるんです。だから、お店の親父さんが、「うちの産地は田舎だから、お前がついて行ってやれ」って、私より若いお嬢さんに。さすがにこちらも気を使うので、それはお断りしました。結局そう言ってくださった方の産地では、その息子さんの案内を受けました。確かに、バスがないような不便な場所だったり、日本人ひとりでは治安の悪い所もあったので、案内があってとても助かりました。

 

私が感動したお茶、武夷岩茶の産地にも足を運びました。(ちなみに、ここだけは日本からの紹介状を持って行きました)。お茶を作っているのは、40代の男性でしたが、中国国内でも高い評価を得ています。この方が作られるお茶は、とても穏やかで優しい味わいのお茶なのですが、その奥に力強さを感じます。この方の人柄に触れ、「お茶は作り手によって品質が決定される」ということを再確認しました。また、この武夷山の水で飲んだ岩茶もとても美味しかったです。

 

 

●作り手の顔を知る

 

 

産地では、茶畑はもちろん、お茶を作る工程もじっくり見せていただきました。そうして、作り手の作業をつぶさに知ったことはとても貴重でした。

 

やっぱり本で読んで得た知識は、人に伝えにくいと思っています。実際に、横でちょっかいを出しながら作業を見せてもらったわけですから、たとえばすごく時間がかかる作業であること、重労働であることが、実感を持ってわかりました。この経験をもとに、お店でお客さまにお茶をおすすめしたり、説明をしたりするときに、リアリティを持ってお伝えできると思います。

 

こうして旅の中で知り合った産地の方とは、今でもお付き合いがあります。顔を知っている、ということは仕入れのときにも、いいことが多いんです。良いものを紹介してくださることもあれば、値段も安くなる!!

 

長い付き合いで信頼関係ができてくると、「こんなお茶を作ってほしい」というリクエストができるようになるんです。私の夢は、いつかそのようなオリジナルのお茶を作ってもらうことなんです。

 

 

--そんな中国滞在を経て、帰国後オープンしたお店は、中国茶についてなにも知らない初心者でも、気軽にくつろげるスペースに。そんな空間が誕生したのには、大西さんのお茶に対するある思いがあったからという。大西さんの考えるお茶の楽しみとは…

 

 

 

●難しくないお茶

 

 

お茶というと、種類が多くてよくわからなかったり、独特の入れ方をしたり、と少し難しく考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、お茶はあくまで嗜好品ですから、好みの問題だと思っています。だからたとえば、紅茶が好きなら絶対にストレートで味わう、というようには考えていません。ミルクや砂糖を入れて、自分なりの楽しみ方ができれば、それでいいと思います。いま流行の茶藝も、否定するわけではありませんが、“藝”が先に立って、お茶の味が二の次になるようなものは、あまり好きではありません。

 

なによりも、おいしく飲めて、くつろげる、ということが一番だと思うんです。やはり「おいしい」という感覚は、心を豊かにしたり、気持ちを軽くしたりするものだと思います。私は、「お茶がなによりも一番!」とは思っていないんですよ(笑)。日常生活の一部にお茶がある、というスタイルを目指しています。

 

ただ、確かに種類は多いので、月に何度か、レクチャーを開いています。毎回数種類のお茶をお出しして、茶葉やその入れ方などを説明をしていますので、ご自分の好きなお茶を見つけていただければ、と思っています。

 

 

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●くつろぎのための空間

 

 

心からくつろいで、お茶を味わっていただくために、この空間作りにはかなり苦労しました。まず不動産屋さんで探したのは、川があって緑が多くて、静かで、犬が散歩していて、天井が高くて、そして水質がいいところ。厳しい条件でしょう(笑)? お茶を入れるわけですから、水質には気を使いました。不動産屋さんに行く度、「お水を一杯下さい」とお願いして、水質を確かめました。その甲斐あって、この店の水質はなかなかのものです。ミネラルが多く、やかんがすぐに真っ白になるぐらいなんですよ。

 

インテリアは、自然素材を大切にしたシンプル・モダンを目指しました。北欧家具が持つ木の温もりとマットな石床の静寂さとの調和が落ち着きを生み出しています。そして、柔らかな光が窓から心地よく入る、長時間いられる場所にしたのです。ガラスの茶器も、知り合いのガラス作家に直接オーダーしています。何度も何度も作り直してもらって、ようやく最近、望みどおりのものができたんですよ。

 

やはり、お店に来ていただいて、「くつろげた」と言っていただけるのが一番うれしいです。よいお茶は、一煎目から味が変化していきます。一煎目は、まだ表面的な力しか出ないので、香りが先に立ちます。二煎目からは、お茶本来の味わいが出てきて、それが3~6煎目まで持続するんです。もちろん、お店でも何煎もお飲みいただけるお茶をお出ししていますから、お茶が、少しゆったりとした時間を持つきっかけになれば…と思っています。

 

 

--大西さんのお茶に対する姿勢は、とても自然なもの。肩肘をはるわけでもなく、マニアックなわけでもない。生活の中にすんなりと取り入れられて、毎日がすこし、豊かになる…そんなお茶の世界への入り口となってくれそうです。
心地よい音楽が流れる空間は本当に居心地がよく、取材に伺った際、入れ違いに出てきた二人連れのお客さんが、「ああ、本当にのんびり出来たわね」と仰っていたのが印象的でした。

 

最後に、大西さんにとってお茶とは? とたずねたところ、「生活の中になくても生きていけるが、ないと寂しいもの、でしょうか。今、中国茶はブームなので、少し値段が上がっているのですが、クオリティの高いものを適正な価格でお店に出して、生活に取り込んでいただければ、と思っています。」とのこと。関心のある方は、是非一度お店に足を運んでみて!!

 


 

 

Uf-fu (ウーフ、紅茶・中国茶専門店)

芦屋市朝日ヶ丘町28-25
0797-38-4788

11:30~19:30(18:45L.O)
月曜定休

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